シフト作成に関して、この様にお悩みではありませんか?
小売業界におけるシフト作成は、顧客サービスの質や従業員のモチベーションに大きな影響を与えます。
しかし、多くの小売店ではシフト作成が原因で起こるトラブルや業務ミスは非常に多いのが現実。
新人店長なら”鬼門”の業務と言えます。何となくで作ったシフトでは「バランス」も悪く、その「生産性」も低く非効率的。上司と部下が互いにストレスにならないシフトを作る為には、出勤日や出勤時間に明確な”意図”がなくてはいけません。
今回は、10年以上ドラッグストアの店長をしてきた私だから言える「シフト作成の手順とコツ」を経験を交えてご紹介します。
シフトの作成手順
10年以上にわたって現場の勤務シフトを作ってきた私だからこそ言える「シフトの作成手順」を経験を元にお伝えします。
世の中様々な種類のシフトがありますが、本記事は「1ヶ月単位の変形労働時間制シフト」を想定して書いています。
流れは以下の通り
- シフト表のルールを確認
- 業務イベントを書き込む
- 従業員の希望休を書き込む
- 基本業務人員の確保
- 繁忙期・繁忙時間に合わせシフトを微調整
- 休みや勤務時間の平等性をチェック
- 労働法令・労働協定が守られているかチェック
- シフトの公開、希望を聞き取り最終調整→完成!
各項目を詳しく見ていきます。
①規定のシフト表の作成基準(ルール)を明確にしておく
規定のシフト表があるのであれば、あらかじめ「会社規定やフォーマットのルールを確認」しておきます。複数店舗を持つ会社では平準化が成されており平等性を担保する意味合いで行います。また、規定のシフト表はエクセルなのか、アプリなのか、はたまた自社ソフトやWEBサービスで作るかでも作りやすさは変わってきます。
今回は、シフトの仕様には触れずの作成方法の内容や手順についてのみ書いていきます。
②業務イベントスケジュールを書き入れる
始めに「会社のイベントやスケジュール」をシフト表に書き入れます。
全店舗合同での勉強会や研修、会議などはイチ店舗の都合で変更することは難しいためです。先に記入しておくことで、その後の希望休や他の業務との重複を防げます。
③希望休を書き入れていく
「従業員の希望の休み」を通常公休と間違えないように優先的に記入します。
シフト上の障害が出た際は希望休を変更してもらう場合もあるためです。
また、トラブルを避けるためにも「希望休の“提出期限日“や“最大提出日数”」は決めておくべきです。
④毎日の基本業務の必要人員を確保
業務の優先順を明確にして「人員配置」を考えます。日々必ず発生する様な「基本業務」の人員を優先的に確保します。
小売の現場業務では「レジ」や「接客」「定期掃除」の業務などがこれに当たります。必要最低限な人員をまずは確保。「希望休」と被ってしまった時は、本人に変更できるかを聞き取ったり、本部へ相談をして応援要請を出す等してシフトが成立するようにします。
⑤イベントや繁忙期を考慮する
次に、基本業務以外の人員配置を決めていきます。
小売業の現場では“折込チラシの期間“や“クーポン券の期限や該当日“、“ポイント倍増イベント“など、ある程度の繁忙期を予想し人員を多く配置する等して調整を行います。過去のPOSデータ(売上や来店客数)などを分析して繁忙日時などを割り出し、シフト作成に反映させることも有効です。業務負担が出来るだけ一定になるようにシフトの厚み(人時)を調整をし、平等性を担保することがポイントです。
⑥シフトの平等性を整える
続けて、平等性があるかをチェックします。
チェックすべき点として主に
「連続休暇や連続勤務のバランス」
「休みの曜日や祝日のバランス」
「勤務時間の偏り」
「負荷の大きい業務の担当の偏り」
「特定の人とばかりの勤務の重なり」などが挙げられます。
⑦労働法令や労働協定を遵守されているかを確認
「法規が守られているか」のチェックも欠かせません。
チェックすべき点として主に
「残業時間の上限は守られているか」
「休日数、出勤数は間違いないか」
「有給の消化は出来ているか」などが挙げられます。
また、あくまで本人の自己責任にはなりますが、パートやアルバイトの勤務時間・収入を希望の範囲内に納めるようにします。一定の所得を超えてしまうと、社会保険の強制加入などの案件が発生しまうためです。
⑧シフトの確定・発表、最終調整
最後に、完成したシフト表をスタッフ全員に連絡をします。
シフト確定後は、従業員に確認をし変更や希望がないかどうかを確認することが大切です。
稼働してからの勤務シフト変更はとても大変です。あらかじめ確認をしつつ根回しすることでスムーズなシフト作成が出来ます。
勤務シフト作成のコツ
部下の教育に重点を置く
“部下の教育“と“シフト作成のしやすさ“はとても密接な関係にあります。
従業員全員が同一クオリティで同じ業務ができる様に徹底できれば当然シフトの自由度は上がります。
では、実際にシフト作成を簡易にするアクションにはどの様なものがあるのかいくつかご紹介します。
部下の何が出来て・出来ないかを把握
従業員それぞれの「今持っている能力」を把握していなければ、効率の良いシフトを作ることは出来ません。「出来ないことを出来るように教育」することでシフト作成にも拡がりが出ます。まずは部下の現状把握が必須です。
気軽にコミュニケーションできる環境を構築
部下の状況を把握するには、普段から小まめなコミュニケーションをとれる環境の構築が必要です。
挨拶をこちらから率先ことはもちろんのこと、部下と一対一で面談できる機会も定期的に作ることも信頼関係を深めるためには有効です。関係を深めることで「連絡の漏れ」や「考えのすれ違い」を未然に防ぐことも出来ます。
適した教育や業務配置を考える
平等な教育を施すと言っても、得意・不得意は個人によって差が出てしまうものです。どうしても、出来ない場合は業務の割り振りを変えるなどの措置も必要になります。その際に重要になるのが、「周囲への根回し」。平等性を担保するためにも、他のスタッフへの説明も重要です。
業務属人化の解消
“特定の従業員しか出来ない業務”はできる限り減らすことでシフトに柔軟性が生まれます。従業員同士が互いに業務を理解できる環境構築が、不満解消の一手となり得ます。得手・不得手があろうとも一度は必要業務を一通り教える様にしましょう。
自ら率先して行動
シフト管理者は部下からの信頼を得る行動を普段から心掛けないといけません。部下の視点からみると信頼の置けない上司が作成したシフトでは再現性の薄い「机上の空論」の様なシフトに見えてしまいます。実際に実践している人が作ったシフトには威厳性もあり、不満が出にくいと言えます。
番外編:部下の体調面にも気を遣う
健康管理は基本的には自己責任の問題ですが、健康を害するようなシフトは避けるべきです。
例えば「5日以上の連続勤務」「中一日での公休が連続している」「長時間勤務日が連続している」などは私は避ける様にしています。
健康に気を遣ったシフトは、業務効率や部下のモチベーションにも良い影響を及ぼします。疲れ切った身体では効率の良い仕事なんてできませんよね。
まとめ
私がドラッグストアに長く勤めてきて思うことの一つとして「勤務シフト」と「職場の働きやすさや雰囲気の良さ」は比例していると言うことがあります。良いシフト作成を心がけることは店長にもメリットが大きくあります。
「合理的かつ倫理的にバランスの良いシフト」に努めるメリットとして
などメリットを享受できることが多くあります。
ぜひ今回の記事を参考にシフト作成に励んでいただけると嬉しく思います。
ともに頑張りましょう!
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